硝子色の風に触れる

海を望む丘の上に佇む光に満ちた[石川県・能登島硝子美術館]

  1. 硝子色の風に触れる ― 石川県能登島硝子美術館

①ひときわ目を引く宇宙船のような建物。複雑な構造で、館内に入ってもまるで迷路のようになっていて、館内を歩くだけでも楽しい。 ②眼下に広がる波穏やかな内浦である七尾湾。 向こうに見えるのは能登半島。 ③青い空を支えるかのように建つガラスのオブジェ。屋外の展示物を見るだけでも価値のある美術館。④肩を寄せ合い海が見える丘に座る2体のガラス人。親子なのか、夫婦なのか。 ⑤藤田喬平氏によるシンボルモニュメント「蔵」

海を望む丘の上に佇む 光に満ちた美術館。

 能登半島に抱かれるように、三方を陸に囲まれた内浦にぽっかり浮かぶ能登島。その波穏やかな七尾湾を望み、なだらかな丘陵地に建つ石川県能登島ガラス美術館は、まるで地球に降り立った宇宙船のような外観である。日本国内唯一のガラス工芸をメインに展示している公立の美術館で、ガラス芸術の情報発信基地として平成3年に開館した。
 東は青龍、西は白虎、南は朱雀、北は玄武の四つの神様を配する風水をイメージした独創的なデザインは、北海道釧路市出身の建築家、故・毛もづなきこう綱毅曠氏の設計によるもの。展示物はもとより、ひときわ目を引く建物自体が、アーティスティックで建築界・美術界に大きな衝撃を与え、話題を集めた。また館内外には、自由な芸術性の象徴として「雲」をモチーフにしたオブジェや装飾が随所にある。
 七尾湾を見渡せる美術館の前の洋風庭園には、コンペティションで選ばれた作家たちによる大きなガラスのオブジェが設置されている。それとは対照的に枯山水の和風庭園もあり、これら2つの庭園で洋と和が出会う場所、東西の文化交流の場という意味も込められているという。美術館中央の人工池から、海に向かって流れ落ちる水。川となり雨となり、循環する命の源である水が表現されているという。石川県能登島ガラス美術館は、宇宙であり世界そのものを全体で表現している。

天井にプリズムが設置されており、季節・時間帯によって虹色の光が降り注ぐ

①エントランス付近の常設展示場。丸い天井と壁。そして丸い小窓。奥に向かって緩やかに傾斜している。 ②ガラスの壁が斜めになった渡り廊下。丸い模様のスリガラスを透過した光が床面に模様を描く。手すりには石川県輪島の伝統工芸で有名な漆塗りが施されている。 ③大きな螺旋階段とガラスのエレベータ。天井に見える赤い格子状のものは雲をイメージした毛綱氏制作のオブジェ。 ④螺旋階段の下に広がる企画展示室。大型の作品はここに。 

現代ガラスアートの輝きに包まれる静かな時間

 館内に一歩、足を踏み入れた瞬間に感じる心地よい違和感。まるで母胎のように、優しく包み込むような丸い天井。自然光が注ぎ込む丸窓を覗いてみるとそこには美術館の設計図が。床は緩やかに傾斜していたり、小さな段差があったり。これも毛綱氏の遊び心である。氏の作品の特徴である螺旋階段を下りると本来そこは地下であるはずだが、庭園が望める地上階であったりと、建物がまるごと芸術作品として楽しむことができるのが本館の特徴だ。
 館内には、ピカソやシャガール、ジャン・コクトーなど20世紀の芸術家たちの案をもとに、ヴェネチアのガラス工房で作られた造形作品や、スペインの作家サルヴァドール・ダリとフランスのドーム社との共同制作による造形作品から、世界各国の現代ガラス作家の作品や歴史ある中国清朝時代のガラス工芸品に至るまで様々。中でもイタリアのガラス彫刻クリエイター、エジディオ・コスタンチーニの作品は、ヴェネチアの伝統の技をいかした芸術性の高いガラス彫刻作品で必見。季節や企画に応じて年4回開かれるの展覧会のほか、常時、約300点の現代ガラスアートの作品を収蔵・常設展示している。
 どこからともなく差し込む陽光。それを吸収し、反射して輝くガラス作品。まるで美術館全体が輝いているようだ。

石川県七尾市能登島向田町125-10 0767-84-1175
9:00~17:00(4月~11月) 9:00~16:30(12月~3月)
※入館は、閉館する30分前まで
毎月第3火曜(祝日の場合は、その翌日)、展示替え期間中※8月は無休
大人800円、中学生以下無料

展示会情報

下記で紹介している以外にも体験型のガラス作品の展示や、作品を鑑賞するポイントの紹介、ガラス素材・ガラス工芸を体験できるイベントも多数開催予定。詳しくは美術館HPにて紹介。 http://nanao-af.jp/glass/

  • 7月11日(土)~9月27日(日)

    企画展/ Let’s enjoy! 現代ガラス
    —不思議な世界へ出かけよう—

    ガラス素材そのものの魅力に触れながら、現代ガラスアートの世界を案内する展覧会。「とける」、「割れる」、「光る」、「映る」等のガラスがもつ不思議な特徴をキーワードに、世界的に活躍する現代作家たちの作品を展示。

  • 12月19日(土)~

    特別展/―ダリも魅せられた神秘の技法―
    ひみ パート・ド・ヴェール展

    展示替えのための休館日/7月6日(月)~7月10日(金)、9月28日(月)~10月2日(金)、12月14日(月)~12月18日(金)

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