地域それぞれの食材を、独自の調理法で代々受け継がれ、
飾り気のない素朴さと滋味深い味わいで地域に根づき、愛され続ける郷土料理。

伝統的な手法で、自然の味を生かしながら作り出される郷土料理の数々は多くの場合、それを作る側の深くやさしい心を感じることができます。城下町として栄えた会津、その歴史的な背景が会津の家庭料理に影響を与え田舎風のなかにどこか品性の良さを漂わせています。 決して華美ではない会津の郷土料理は、心気の高揚をめざした士道の精神に通ずるものです。 古き良き食文化の伝承、おらが村、おらが料理を是非ご賞味ください。
わっぱ飯

杉や檜の木を曲げて作る曲げわっぱは、その昔、山人たちが弁当箱として愛用していたものです。これに会津米、舞茸やしめじ、なめこ、磐梯竹、ゼんまい、蟹、鮭などの具を入れて、蒸し上げたのが“わっぱ飯”です。その場で蒸したてで運ばれてくるわっぱの蓋を開ければ、馥郁とした香りがふわっと立ち上り食欲を刺激します。
こづゆ

山の幸と海の幸を取り合わせた薄味仕立ての汁煮。 四方を山に囲まれた会津盆地では海の物は手に入りにくいため、保存のきく干し貝柱を利用し、焼き麩を小さく丸くした豆麩、里芋、しらたき、キクラゲなどの具を入れていました。会津藩の武家料理や庶民のごちそうとして広まり、正月や祭り・冠婚葬祭など特別な日のおもてなし料理として食べられてきました。
馬刺し

美食家の舌も満足させる、会津が誇る「馬肉(桜肉/サクラ肉)」脂身のない赤身の肉が好まれ特製のニンニクを擂り下ろして唐辛子と混ぜた味噌ダレに、醤油を合わせて食べるのが一般的です。 日常的に良く食べられ、最近では、寿司などにしても食べられています。
にしん山椒漬け

干物の身欠きにしんを、山椒の葉を用いて醤油で漬け込んだものを『にしんの山椒漬』と呼んでいます。会津の殆どの地区で古くからつくられてきたもので、全国的に珍しく会津独特の郷土料理です。酒の肴にはもちろん、ご飯のおかずとしても絶品です。
棒たらの甘露煮

棒たらは鱈の煮干しのことで、これを2日位水に浸し、柔らかくしたものに醤油、砂糖などを加え、2~3日気長に煮上げたものを「棒鱈煮」と呼んでいます。昔は正月やお祭りの御馳走として作られ、比較的裕福な家のものとされてきました。海から遠い会津では干物を用いるしかなったようです。昔は大変な御馳走だったそうです。
しんごろう

南会津地方に伝わる独特の郷土料理。昔、正月だというのに餅米がなく餅を搗けなかったしんごろうという若者が、ごはんを搗いて丸めじゅうねん味噌をつけて母親に食べさせたという昔話が名前の由来として残っています。 『しんごろう』は、うるち米を炊いた熱々のごはんを荒くつぶして卵型に丸め、串にさしたものに「じゅうねん味噌」をぬって炭火で焼いたものです。